2011年01月10日

誤解をなくせ!

少し古いが、昨年12月17日の信濃毎日新聞。
税制改正についての記事の冒頭部分をお読みいただきたい。

 政府が16日閣議決定した税制改正大綱に、成年扶養控除の縮小が盛り込まれた。
 高齢者や学生、障害や病気のある人を扶養している場合は控除が継続するが、
 一定以上の収入があり、23~64歳の家族を養う場合は控除が廃止される


一読してすんなり理解できただろうか...?
私も妻も、一瞬「?」と思った。
赤字の部分、「一定以上の収入がある」なら、今だって控除の対象にはならないだろうに...。

そう、この部分が甚だわかりにくいのだ。
「一定以上の収入」が誰の収入なのかがあやふやだ。
もちろん、ここでは「23~64歳の家族」の収入ではなく、扶養する側の収入だ。
「~あり」の後に読点を入れたのも、その誤解を避けようという狙いだろう。

だが、特に新聞記事では、少しでも誤解を招くような表現は許されない。
好意的、あるいは常識的に読めばそう理解できるが、
読者にその努力を要求する文章は悪文と言っていいのではないだろうか...。


では、どう書き換えたら誤解のない文章になるか?
これは言語力を育てる教材にそのまま使えそうだ。
皆さんもぜひ考えてみていただきたい。





誤解をなくせ!





問題部分の始まりを「一定以上の収入がある場合は」と変えてもいいが、
その前後に「~場合は」が2つもあるので、かなりわずらわしい。

「一定以上の収入があれば」とすればずいぶん良くなる。
しかし、「~場合は」「~あれば」と条件が複雑に入り組んでわかりにくい。

「一定以上の収入がある」という条件をここに入れるから問題が生じるのだ。
これを冒頭に持って来て、次のようにすればすっきりするのではないだろうか。

 一定以上の収入がある場合、高齢者や学生、障害や病気のある人についての扶養控除は
 継続するが、23~64歳の家族についての控除は廃止される。


もっとわかりやすい表現を考え出された方、ぜひ教えてください。

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Posted by どーもオリゴ糖 at 12:11│Comments(0)素材
 
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