言霊

どーもオリゴ糖

2010年05月14日 14:21

先日長野日大中学の塾関係者向け説明会に行った。
終了後平安堂東和田店に寄ったら、欲しい本がいっぱいあって、厳選の後6冊を購入。
この書店とは妙に相性がいいのだ。
同じ平安堂でも、川中島店ではこうはならない。

その中の1冊がなかなか良かった。
金田一秀穂著「15歳の日本語上達法」である。
講談社から「15歳の寺子屋」シリーズとして刊行されているものの一つだ。

まず表紙のキャッチフレーズに大いに賛同。
「大切なのは漢字を記憶することより、言葉で考えることだ!」

100ページ足らずで中学生向けの文章なので、あっという間に読み終えた。
言葉の持つ力の大きさ、言葉で表現することの限界などが説かれており、
日本語力をアップする必要性を訴えている。
わかりやすくするために多くの例が挙げられているが、こんな話が印象に残った。

英語には「肩が凝る」という表現はないという。
従って、英語圏の人は後頭部や背中が痛くなることはあっても、肩が凝ることはない。
ところが、日本語の「肩が凝る」を知った途端、肩が凝り始めるそうだ。

逆の例も紹介されている。
アメリカでは「風邪をひくと耳が痛くなる」が常識で、
筆者はそれまでそんな経験はなかったのに、
それを知ってからは、風邪をひく度に耳が痛いというのだ。

まさに言葉の力だ。言霊である!
言葉が人間の思考や心理を支配し、体にまで影響を与えてしまう...。

「疲れた」を連発していると、実際にはたいした疲労でなくてもどっと疲れる。
「無理だ」と言った瞬間に本当に無理になる。
「ブルー・マンデー」も「五月病」も「K・Y」も、そんな言葉があるからちょっとしたことを大袈裟に考えてしまうのではないか。
「うつ」だってそうだ。
その言葉がなければ、そんなに深刻にならずに済むのかも知れない。

「言葉なんか おぼえるんじゃなかった」と言ったのは田村隆一(詩人)である。

もちろん、逆にそれがあるお蔭で喜びを感じたり救われたりする言葉もあるだろう。
「愛」「幸せ」「ぬくもり」「思いやり」「オンリー・ワン」などなど...。

そう言えば、私はかなり大きくなるまで、カニ蒲を本物のカニだと信じていた。
事実を知らないままの方が、ずっと幸せだったかも知れない。

なまじ知識があるために柔軟な発想ができなかったり、技術を持つが故にもっとうまい方法を探そうとしなかったり、ということもあろう。
勉強すること、練習すること、進化することなどについて、いろいろ考えさせられた一日であった。






関連記事