比べる力

どーもオリゴ糖

2011年03月06日 11:57

白鳥の 沼のほとりを 郵便夫

松代の塾では毎月生徒たちに俳句・短歌を覚えさせている。
月初めに季節に合ったものを7~8個選び、リストを渡す。
同時に教室内にも掲示する。

月の終わりにはチェックだ。
俳句なら初めの「五」だけが書いてあり、残りの「七・五」を埋めさせる。
短歌の場合は上の句の「五」と下の句の「七」がヒントになっている。
リストに挙げたうち、3個できれば合格だが、毎回苦労している子も多い。

冒頭の句は田中憲二郎という人の作である。
2月の俳句に採用した。
これを選んだ子の答を見て、あることに気づいた。
「沼のほとりを」を「沼のほとり」とする子が多いのだ。
「に」が違うと言うと、「沼のほとり」にして来る子もいた。
「に」や「の」では元句の情景が伝わらない。

そこで2月のチェックとは別に、単独の問題を急遽作成して中学生全員に与えた。
まず元句を掲載し、「白鳥の群れる沼のほとりを郵便夫が通り過ぎて行く」という解説を付ける。
次に「~を」を「~に」に換えた句を載せ、元の句と比べてどんな違いが感じられるかを答えさせるのだ。

何となく違うのは皆すぐわかるようだ。
問題はそれをどう言葉にするか...。

多いのは、「~に」だと郵便夫がいる感じになるという答。
確かに「~郵便夫」の後に言葉を補うなら(筆が進まない子にはこうヒントを出す)、
「~を」には「行く」や「通る」、「~に」には「いる」である。 

しかし、この答では両者の比べ方として物足りない。
「~を」でも、情景の中に郵便夫が「いる」ことに変わりはないのではないか...。
元の句ではこうだが「~に」に換えるとこうなるという、違いを明確にした説明がほしい。

模範解答はこんな感じか...。

 「~を」だと郵便夫が通り過ぎて行く様子が浮かぶが、
 「~に」だと郵便夫が立ち止まっている感じになる。


もっと簡潔に言うなら、こんなのはどうだろう。

 「~を」には郵便夫の動きが感じられるが、「~に」には感じられない。

比べる力を鍛えることは論理力の養成に役立つ。
詳しくは、また次回に...。








<画像について>真田邸の釘隠No.2。何かのスイッチのようなシンプルバージョン。

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