歴史教科書の文章~その2~
昨日塾で、中2の女子が歴史の問題を解いていた。
ちょうど先日、私が記事にした
「承久の乱」の辺りだ。
「六波羅探題」と答えるべき箇所が無解答だったので、言葉の意味を確認する。
「六波羅探題って何?」
しばらく教科書を読んでいたが、答えられない。
仕方ないので助け舟を出す。
「そもそも六波羅探題って人なの?場所なの?」
「場所...?」
正確には京都六波羅に置いた役職のことだが、まあこれでも合格としよう。
続けて訊く。
「じゃあ、何のために六波羅探題を置いたの?」
「...?」
「どんな事件があったから?」
「...??」
参考までに、先日も紹介した現行の歴史教科書(平成18年版:東京書籍刊:長野市立中学用)の該当箇所を再掲する。
幕府は大軍を率いてこれを破り(承久の乱)、京都に六波羅探題を置いて朝廷を監視するとともに、
上皇側についた貴族や西国の武士の領地を取り上げ、地頭に東国の武士を任命し、幕府の支配力
はいちだんと強まりました。
この前に、後鳥羽上皇が幕府を倒すべく挙兵したことが書かれている。
六波羅探題設置のきっかけやその目的は、頻繁にテストに出る定番の記述問題なのだ。
さて、何分か考えてからの彼女の答である。
「島流しとかあったから...。」
え???
上皇が隠岐に流されたことは今の教科書には記述がないが、それは何かで知っていたのだろう。
しかし、それは承久の乱が失敗に終わった結果であって、六波羅探題とは直接関係ない。
訊き方を変える。
「この時代に一番力を持っていたのは誰?」
「...後鳥羽上皇...。」
「だったら何も事件も起こす必要ないじゃん...。」
結局、承久の乱が起こった背景から六波羅探題設置の目的まで、
彼女にわかるであろう言葉で説明せざるを得なくなった。
本当は
こちらが教えるのではなく、本人が気づいて自分の口から正解を言ってくれるようにしたいのだが、これだけ理解が浅いとどうしようもない。
彼女の成績は平均より少し上くらいである。
国語力が特に低いというわけでない。
してみると、やはり歴史教科書の記述に問題があるのではないか?
ただ、わかりにくさを逆手に取って、それを利用してしまうのも面白そうだ。
この教科書の文章を題材に、国語の問題を作るのだ。
まさに一石二鳥!
国語力もアップするし、歴史の理解も深まる。
さっそく試してみたい。
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