騒々しい選挙戦が終わった。
絶好の昼寝どき、大音量にさんざん悩まされたものだ。
あの選挙カーでわめき回る運動は、はたして効果があるのだろうか?
名前と「がんばります」「お願いします」の連呼ばかりで、政策なんて何も伝わってこない。
私など、あまりうるさい奴は、それだけで入れたくなくなる。
昔、小さな町(〇〇郡✕✕町)に住んでいた頃、
隣の集落から新人(若くはないが...)が町議選に立候補したことがある。
私がいた集落は小規模で神社もなかったので、祭りや老人会など、
そのムラと行動を共にすることが多かった。
その候補者自身のこともよく知っていたし、お世話になったこともある。
立候補したからには、受かってくれればいいなとは思っていた。
気楽に構えていたのだが...。
ほどなく、田舎特有の選挙合戦に巻き込まれることになる。
まずは壮行会のお知らせ。
続けざまに、各人の役割分担表が回ってきた。
知らない間に「広報班」に振り分けられている。
なんだこれ?
...そんなこと一言も聞いてないぞ!
自分たちの地区から立候補者が出たら、心情的に応援しようという気はわかる。
ただ、その人物に投票するか否かは別問題である。
わがムラから議員さんが出れば、ムラの公共問題に予算が回ってくる、
自分たちの地区が少しでもよくなる...。
そんな気持ちの人が、田舎であればあるほど多いのが実情だろう。
だが、そんな「せこい」考え方で町会議員を選ぶべきではない。
その頃、町は「平成の大合併」問題にどう対応するか、方向性が問われていた(結局吸収合併された)。
自分のムラのことより町全体のことを優先して考えられる人こそ、議員にふさわしいのではないか...。
結局、私はその選挙に一切協力しなかった。
壮行会だけは出て、候補写本に人直接考えを伝えた。
個人としては応援するが、ムラぐるみの選挙戦には協力できかねると...。
快く了承してもらい、あとは大家さんにだけ意見を話し、
その他大勢には仕事の忙しさを理由にごました。
最終的には私もその人に投票し、無事当選した。
祝賀会にはもちろん出席しなかったが...。
今のムラでも、地区から候補者が出れば同じような展開になるだろう。
密かにそれを恐れている。
街から近いのにムラ意識が強く残るここでは、
前のようにすんなり受け流すわけには行かないかも知れない。
誰に投票するかは、いつも選挙公報を見て決める。
今回もじっくり読んでみたのだが...。
皆同じようなことばかり書いていて、伝わってくるものがない。
万人受けを狙ってあれもこれもと詰め込んでいるので、
この人に!という決め手がないのだ。
これでは、誰々さんに頼まれたからとか、地元の人だからという理由で入れるしかない。
投票率が過去最低の46%に留まったのも頷けるというものだ。
相も変わらぬ地盤、看板、カバン頼みの選挙戦...。
主義・主張や公約で争うという理想が実現するのは、特に地方議会の選挙では、当分難しいようである。
※画像は松代の山寺常山邸。