型にとらわれるな
おうぎ形の問題は苦手とする子が多い。
円の一部と考えれば難しくないはずだが、なぜか戸惑う。
たとえばこんな問題だ。
中心角をx°としてπ(パイ)r2乗*(かける)x/360まで書いて、そこでペンが止まってしまう...。
当然である。
これは、中心角がわかっているときにおうぎ形の面積を出す「公式」として教科書に載っているものだ。上図のおうぎ形の面積が示されていればまだ使えるが(それでも計算は面倒になる)、
この場合は使い途がない。ところが多くの生徒は、
「おうぎ形」と聞いた途端、反射的にこの式を書きたがるのだ。
あまりにも型にとらわれすぎている...。
この問題は、扇形の弧の長さと円周を比べれば簡単に解ける。
おうぎ形がその一部となる仮想円の半径は6cmなので直径は12cm。
従って円周は12πcm。
おうぎ形の弧の長さは4πcmなので、このおうぎ形は円の1/3(4π/12π)であることがわかる。
ならば中心角も円の1/3で120°となっておしまい。
中心角が60°、弧の長さが5πであるおうぎ形の半径を求める問題なら、5π×6で円周が30π。
よって直径30、半径15である。
半径、弧の長さ、中心角、面積のうち2つがわかれば、おうぎ形の円に対する割合がわかる。
そうすれば他の2つも容易に求めることができるはずだ。
そういう練習をたくさんすべきなのだ。
公式をいくら覚えても、使いこなせなければ意味がない。
ちょっとパターンが変わったらその公式では使えない、
じゃあまた新たな公式を覚えよう、ではきりがない。
それよりも
感覚を磨くことだ。
教科書に書いてあることだけに頼らず、
自分のひらめきや感性を信じることだ。
本質をつかめば簡単に忘れることはないし、柔軟な発想もできるようになる。
円周を出すとき小学校では「直径×円周率」と習うが、中学で文字式を終えると2πrと教わる。
文字式のルール上こういう順になるのだが、
この形だけ覚えていて「直径×円周率」を忘れている子が少なくない。
やがて、円周から直径を求めることさえできなくなる。
2πrの意味がが2r×πだとわかっていればこうはならないはずなのだが...。
他にもいくらでも同様の例がある。
型にとらわれることは本質を理解する妨げになるのだ。
関連記事