2010年04月13日

はじめに

はじめまして。
松代町在住の「どーもオリゴ糖」です。

市内で小さな学習塾をやっています。
長年多くの子どもを見てきて、
 「自分で考えようとしないで、すぐに答を教えてもらいたがる」
 「なぜそうなるのかを理解しないで、公式的なものに頼る」
 「自分の考えや意見を整理して話すことができない」...
などの
傾向が最近特に強くなっていることに危機感を感じています。

OECDの学力調査や文科省の全国学力テストの結果を見ても、知識はあっても考えるのは苦手、
記述式問題はお手上げという子どもが多いようです。
教えられたことはできるけれど、初めて目にする問題だとどう考えていいかさえわからないのです。

これでは将来が不安です。
社会に出てから直面する問題には、初めから答など用意されていません。
自分で考えないで教えてくれるのを待っている...。
言われたことしかできない....。
そんな新入社員はどこの会社も必要としないでしょう。

①「情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考える」
②「それを整理して、論理的に人に伝える」
そんな力を本気で育てなければ、日本は衰退していく一方だと思います。

今まで学校教育では、それらの力を体系的に育成する機会はほとんどありませんでした。
さすがに文科省も危機感を感じたのか、今回の「ゆとり教育」脱却の学習指導要領改訂で、
「言語力」の強化を一つの柱としています。
 (注:上述の②の力を文科省は「言語力」と定義しています。以下、このブログでもそれに倣います。)ただ、教える内容が格段に増えた状態で、どこまでそれが実現できるか...。
私はかなり危ぶんでいます。

危機的状況は、子どもたちにだけ存在しているのではありません。
最近NHKで「言語力」をテーマにした番組が複数放映されました。
報告書が書けない若手社員、後輩に技術や手法を伝授できないベテラン社員、
街頭インタビューに単語の羅列でしか答えられない人々...。

マスコミの意見やネットの情報をそのまま受け入れてしまう大人たちも、
「コピペ」の繋ぎ合わせでレポートを作る大学生も、
感情をうまく伝えられずにすぐにキレル若者も(昨今は老人も...)、その根本にあるものは同じです。
貧弱な論理的思考力、言語力を高めることこそが、今の日本人にとって最大の課題ではないでしょうか。
コミュニケーションやマナーなどの問題も、それらの力を育てずに語っても、根本的な解決にはならないと考えるのですが...。

塾では何年も前から要約力や論理的思考力、説明力の強化に力を入れてきました。
オリジナル教材もいろいろ作っています。
「日本語文章能力検定(文検)」や、昨秋から始まった「言語力検定」の準会場にも登録して、
生徒に受験を勧めても来ました。
でも、結局は学習塾なので、学校の成績や入試のことを避けては通れません。
一番つけてあげたい力を後回しにせざるを得ないことも頻繁にあります。

そこで、学習塾とは別に思考力と言語力を育てるNPO法人を設立することにしました。
子ども向けには定期的な教室(お勉強ではなく習い事感覚のもの)や、無料の体験会、
小中学校への出前授業を考えています。
大人向けにも講演会や社員研修、大学生対象のワークショップなどを行う予定です。

まだ計画を立て始めたばかりなので、正式な団体名も活動内容も未定です。
趣旨に賛同していただける方は、ぜひコメント欄に一言お寄せください。
明日の日本をよりよくするために、一緒に活動して行きたいと思います。

よろしくお願い致します。



Posted by どーもオリゴ糖 at 17:41│Comments(5)はじめに
この記事へのコメント
初めまして。
どーもオリゴ糖さん。
わたくしは去年長野に帰ってきて、これから英会話トレーナーを生業として生活していこうとしている一社会人です。
ブログを拝見し、大変その通りだなと感心しました。
一切の勉強的な要素を排除して、純粋に英語をしゃべれるようにするのが目的の当方の事業ですが、根幹は共通しています。
スポーツで言えばサッカーオタク、ルールは誰よりも知っていて、選手の名前や監督の名前もすらすら言えて、でも全くサッカーはプレーできない。今の中学・高校の英語教育はここでいう「英語オタク」を養成しようとしているにすぎないと思っています。
人に会ったら「こんにちは」。
人に物をもらったり何かをしてもらったら「ありがとう」。
人と別れるときは「さようなら」。
こういったごくごく基本的なコミュニケーションがあたりまえにとれるように、英会話トレーニングを通じて次代を担う子供たちにさまざまな知恵を授け、経験を伝えていきたい。こう考えています。
20代〜30代の親御さんには、いいかげん受験突破至上主義は捨ててもらいたいものです。
NPO設立を全面的に協力させていただきます。
ダイスでした

ETC代表取締役兼チーフ英会話トレーナー
山川 大輔

加盟組織:長野創業者交流会 http://yamakawa-farm.org/nex
Posted by Dice-ETCDice-ETC at 2010年04月14日 20:46
山川さん、コメント第1号ありがとうございます。
しかも賛同のご意見、感謝です!

ダイスさんのブログも拝見しました。
英語力、私は足もとにも及びません。
何年か前、英語の多読にはまったことがあります。
「辞書は引かない、わからない所はとばす、つまらなくなったらやめる」という原則が気に入り、「100万語読もう」を半年くらいで突破して、最終的には200万語以上読みました。
お陰で読むのはかなり得意になりましたが、聴いたり話したりはさっぱりです...。

その時購入した500冊以上の本(絵本からペパーバックまで)は塾に置いてあり、生徒にも勧めるのですが、なかなか浸透しません。
どうしても成績や受験が優先になってしまうので...。

中高生の英語の伸ばし方、ぜひ教えていただきたいものです。

NPOの件は、しばらく様子を見てまたご連絡します。
何とぞよろしくお願いします。
Posted by どーもオリゴ糖どーもオリゴ糖 at 2010年04月15日 17:07
返信どうもありがとうございます。

中高生が英語習得で抱えているいちばん大きな問題は、「受験」にあるといっても過言ではありません。

「受験」のために英語を「勉強」するから伸びないんです。

ロジックはこうです。
1.単語・文法・フレーズを暗記
2.学校では細かいミスで減点やバツになる
3.英語は完璧でないといけないという先入観を覚える
4.いざしゃべろうとすると、頭の中で単語や文法を完璧に組み立てる作業に手間取る
5.今口から出ようとしている英語に自身が持てない
6.口から出る英語が小声になる
7.小声なので相手が聞ききとれない
8.相手はもう一度言うよう聞き返す
9.自分の言った英語が間違っていると勘違いし動揺する
10.気が動転し頭が真っ白になって何も考えられなくなる
11.自己嫌悪に陥る
12.英語に苦手意識が芽生える

受験はあくまで人生の一過性のものです。
今の時代、これからの時代は、大学入学はあたりまえでもその後の保障はない。
受験英語は2、3年の命。でも英語を話すスキルは一生もの。わたしの行っている事業は後者。だから「受験英語オタク、さようなら〜」が本音です。
わたしが身を置いていた実際のビジネスの世界では、取引相手はわたしが「英語を話すことができる」ということに何の感慨も持ち合わせていません。要は、この商談が成立するか否か、だけです。その商談がたまたま英語で行われているだけ。
むしろわたしが英語で何を伝えるか、伝えないかにかかっています。
つまり試験に例えると、100点満点が最低ラインで、そこからいかに120点、200点をたたき出していくかという世界だったんです。

受験英語に子供たちの未来はありません。だからわたしはいつもそのさきを見据えてサービスを提供している旨を親御さんに伝えています。それでも「受験英語を」という親御さんには学習塾で英語を「勉強」することを勧めてしまいます。
Posted by Dice-ETCDice-ETC at 2010年04月16日 09:12
どーもオリゴ糖 様

初めまして。長野市の行政書士の古谷と申します。
ETC山川さんにご紹介頂きブログ拝見いたしました。
私も昨年まで高等専門学校と少年院で教官を15年ほどやってきてコミュニケーションや思考力の低下については肌で感じてきました。
今、対策を打たないと10年後にはどうすることもできないのではないかと思います。NPO設立の件でお手伝いできることがあればぜひ協力させてください。

古谷行政書士事務所
古谷 豊
Posted by officefuruya at 2010年07月14日 11:47
古谷様

コメントありがとうございます。
そうですか。言語力・思考力の低下を現場で生で感じてこられたのですね。
そういう方にご賛同いただき、心強い限りです。

今とりあえず中学生用の教材を作成中ですが、
思ったより奥が深く、なかなか系列的なものができません。

ある程度形のあるものを作ってからと思っていましたが、
このブログを通じて以外にも興味を示してくれる方がいらっしゃるので、一度皆さんにお集まりいただき、ご意見を伺いたいと考えています。
その節はどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by どーもオリゴ糖どーもオリゴ糖 at 2010年07月14日 16:31
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。