2011年08月16日

言語力の差~その2~

中学生より高い国語力を持つ小学生の話の続き。
これも「おじいさんのランプ」に収録されている問題だ。

町で初めてランプを見た巳之助は、その明るさに驚く。
さらに...。

  それにランプは、その頃としてはまだ珍らしいガラスでできていた。
  煤(すす)けたり、破れたりし やすい紙でできている行燈より、
  これだけでも巳之助にはいいもののように思われた。

   (問)「これ」は何を指していますか。 
 

解答欄は「(               )こと」となっている。
「こと」に続く形で答よということだ。

指示語の問題はかなり出してある。
内容は合っていても、形(答え方)が適切でなければ〇はもらえない。
言語能力(国語力)を育てる良質な問題が作りやすいのだ。

「これ」が指すものを答える場合は、名詞の形で終わる必要がある。
本文中には出てこなくても、「~もの」や「~こと」を付け加えなければならないことが多い。
教材の後半ではそこを自力で調整できる力を求めているが、
ここはまだ冒頭に近いので、「~こと」を予め提示しておいた。

だから、この問いも他の箇所と同様直感的に作ったものではあるが、
特別難しいとも思っていなかった。

ところが市販前に中学生に解かせてみると、実に出来が悪い。
多いのは「ガラスでできているランプ」的な答だ。

塾でやるなら大人がアドバイスできるが、自習で解くとなると苦労する子が多く出そうだ。
そういう問題にはヒントを入れた。
ここではこんな具合だ。

  <ヒント>「巳之助には」の後に「~が」を補って考える。

もちろん、ここに入るべきは「ランプが」である。
これが答えられないと話にならない。
答えられても、問いに対する正解を出せるのは、全体の3割以下ではなかろうか...。

前回ご紹介した小6男子のうち、
一人は1回で正解、一人は2回目で正解だった。
もう一人はまだ保留中。
この子は他の問題では真っ先に正解していたことも多いので、
やはり小学生だとムラがあるるのかも知れない。

それでも、いくらアドバイスしてもトンチンカンな答しか書いてこない中2、中3の生徒を前に途方に暮れているときには心から思うのだ。
言語能力の土台は、小学生のうちに固めておくべきだと...。

ちなみに、上記の問題の答は「ガラスでできていること」でした。



言語力の差~その2~



※お盆に千葉の実家に帰るついでに、今年は神宮球場に行ってきました。ネット裏の2階席で、
 料金のわりによい席でしたが、5回終了時の花火は、屋根が邪魔で半分しか見えず...。
 試合は阪神が4-1で快勝!


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Posted by どーもオリゴ糖 at 12:05│Comments(4)素材
この記事へのコメント
難しいですね。
小学生のうちに身につけなくてはいけないのかあ。
なるほど、今になるとなんでもない問題なんですけどね。
ということは、私も小学生の頃に身につけたのでしょうか?

今学校で教えてもらうことが多すぎるのか?先生の懐が狭くなったのか?
自宅でドリルの○付けをして教えて下さいなど....その他にも家でやるべきことが多いような気がします。塾へ通わせないようにでしょうか。公文も人数が増えてくると、適当に帰ることを促して、その分自宅でということで宿題を増量して帰す場合が増えてきました。キャパオーバー?

よって公文は......キャパの適正な塾に切り替えようかと思案中です。国語をまともに教えて欲しいのに、プリントを出してもらっているだけではね。まったくもって向上してません。ハー
Posted by カイ at 2011年08月17日 10:52
カイさん、毎度です。

ある程度は小学生のうちに固めておく必要があるのでは?と思います。中学生以降でも伸びる子は伸びるんでしょうが...。

確かにプリントを解いているだけでは国語力はつかないでしょうね。生徒が書いてきた答にどうアドバイスするか、対話がポイントだと思います。問題も、ただ内容を読み取るだけではなく、自分はどう考えるか、なぜそう思うかなどを書かせるものを増やすべきだと考えています。
Posted by どーもオリゴ糖どーもオリゴ糖 at 2011年08月18日 14:22
なーるほど。
やはりそうですよね。
先生が問題を通じて生徒と向き合ってこそ「教」だと思うんですけど。
うーん、やはり三年生から公文はやめかなあ。
増員することばかりに今でも躍起で、そのあとのキャパってモノがついていってないような気がしてならないです。

ありがとうございます。

追伸、先生が近くにいたらなあ( ̄o ̄;)ボソッ
Posted by カイ at 2011年08月18日 14:56
カイさん、再度ありがとうございます。
返事が遅くなってすみません。

公文は素人でも指導できるようにするために教材の完成度が高いのですが、その分、生徒との対話が疎かになりがちです。もちろん、優れた指導者はそのあたりもきちんとフォローしているのでしょうが...。

市販の教材を作る場合も、そこがネックなんですよね。自習でできるようにするために丁寧になりすぎてしまうんです。目の前に生徒がいれば、その子の力に応じて適切なアドバイスができるんですが...。
Posted by どーもオリゴ糖どーもオリゴ糖 at 2011年08月23日 14:02
 
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