2010年10月26日

群れるな!

中学生のときだから、もう40年近く前になる。

NHKで「天下御免」という型破りな時代劇が放映されていた。
江戸時代の奇才、平賀源内を主人公にしたドラマだったが、
早坂暁氏の脚本が絶妙で実に楽しかった。
史実に基づいた部分は少なく、ときには時代考証もお構いなしに、
エンターテインメント性を重視していたのだ。
当時のNHK番組の中では、異色中の異色であったろう。

この冒険的な時代劇については、もちろん賛否両論の意見があったが、私は夢中になった。
初めはただ面白いだけだったが、そのうち主人公の源内の生き方に憧れるようになる。
奇人変人扱いされても意に介さず、むしろ人と違うことを誇りにしているかのようだった。
思想や言動がなかなか受け入れられず、「早く生まれすぎた」とこぼしながらも、
重苦しい時代をいかに面白く、自由に生きるかを追求していく姿に共感を覚えたのだ。

 (実はこの「自由」が物語のコンセプトの一つでもあり、
  ラストは自由を求めて熱気球でフランスに渡って、
  フランス革命に参加するという壮大な展開になっていた。)

それまでの私は典型的な優等生タイプだった。
親や先生の言うことをよく聞き、お勉強も真面目にやって成績も良かった。
大人から与えられた価値観を、何の疑いもなく素直に受け入れていたのだ。

それがこの番組を観て変わった。
自分も源内のようになりたい、もっと自由に生きてみたいと思うようになったのだ。
強烈な自我が芽生えたきっかけが「天下御免」という時代劇だったのである。

前にも書いたが、今では行列が大嫌いな人間になった。
「変わっている」と言われるのは、私にとっては褒め言葉である。
いつも群れていないと気が済まない人より、孤高の人に魅力を感じる。

だからこそ、先日新聞に載っていた調査結果にはがっかりした。
ベネッセ教育研究開発センターが全国の児童・生徒に行った調査である。

「仲間同士で固まっていたい」「仲間外れにされないように話を合わせる」
こんなふうに答える子どもが、特に男子で増えているそうだ。

前者には小中学生の5~6割、後者には小学生の5割、中高生でも4~5割が該当している。
高校生でも43%の男子が「話を合わせる」というのは、いささか多すぎないか...。

記事は、「草食化」が小学生のときから始まっていると分析している。
我々の時代と違って、今の中高生は母親や父親ともよく話をしているらしい。
家族の絆が深まっているのは悪いことではないだろうが、
どうも内輪だけ、同質の者だけでまとまろうという意識が強すぎるように思う。
自分の周りのごく狭い範囲で、こぢんまりと居心地のいい空間を維持していこうと考えているのだろう。

なんだか日本の将来がますます心配になってくる。
友人や親と対立しながら自我を築いていく、
そんな「逞しい」青少年は少数派になってしまったのか...。
周りに合わせることばかり気にして、自分の頭で考える習慣を持たないまま成長すれば、
いつまでも自立できない若者が増加するのではないか。
マスコミに簡単に操作されやすい思考停止人間も、さらに一般化するだろう。


史実では、平賀源内は過失で人を殺め、牢内で死する。
その死にあたり、友人だった杉田玄白が詠んだ詩がある。

   ああ非常の人 
  非常の事を好み 
  行いこれ非常 
  何ぞ非常の死なるや









※画像は最近読んだ本。励まされました...。  


Posted by どーもオリゴ糖 at 13:43Comments(0)よしなしごと

2010年10月22日

道案内の力

言語表現力の中で、まず鍛えたいのが説明力である。
それを測るのに最適な素材の一つが、地図を見ての道案内だ。
ここのところ、甚だ要領の悪い説明を連続して目にして、その感を強くした。

塾には、図形や漢字、間取りや家系図、算数の考え方など、
様々なものを説明させるオリジナル教材があるが、
今回のは塾用の国語教材(小学生レベル)の一部である。
答えたのは中2の男女1名ずつ。

ごく簡単な道案内だ。
下図の●の位置から図書館までの道を教えればよい。
今手元に教材がないのでうろ覚えだが、50~60字の字数制限がある。

普通に考えれば、こんな説明になろうか。

 「この道を行って二つ目の角を右に曲がります。橋を渡って次の角を左に曲がると、
  右手に図書館があります。」


これくらい楽勝だろうと思っていたが、ずいぶんと時間がかかる。
どう表現していいか迷っているらしい。
やっと書き始めたと思ったら、今度は指定された字数内に収まらない...。









道案内が下手な子は、二つの面で「相手の立場に立つ」ことができていない。
一つは、相手にとって何が重要な情報なのかを考慮していないということ。
たとえばこんな説明を書いてくる。

 「一つ目の十字路を通り過ぎて、二つ目の十字路を曲がり...」

どこでどちらに曲がるかが重要なのである。
一つ目の十字路のことなど触れる必要はない。
いや、触れるべきではないのだ。
親切のつもりで詳しく述べているのだろうが、余計な情報を増やすとかえってわかりにくくなる。
おまけに、肝心な二つ目の角をどちらに曲がるかが書かれていないのでは不親切この上ない。

橋を渡って十字路を左折するところまでで説明を終えているケースも多い。
これでは、曲がってからキョロキョロしなければならない。
どちら側に図書館があるのかまで教えてあげるのが、親切な道案内というものであろう。

相手の立場に立っていないもう一面の例。
自分の視点からだけで説明している。

 「二つ目の角を橋がある方に曲がって...」

自分は地図を見ているから、橋があるとわかるのだ。
実際にその場で、角から橋が見えるとは限らないではないか...。

橋を渡った後左折してからの説明。

 「すると上に図書館があります」

これも、地図を見ているからこそ出てきた表現であり、
現場を歩いている者には全く意味のない説明である。
左折した先が坂道になっていて、坂の上に図書館があるのかと思ってしまう。

   ※  ※  ※

企業が新入社員に求める力のトップはコミュニケーション力だ。
その根本を成すものの一つが、相手にわかりやすく説明できる力だと言えるだろう。
小中学生のうちから、少しでもその力を培ってやりたいと思っている。


  


Posted by どーもオリゴ糖 at 13:27Comments(0)よしなしごと

2010年10月19日

逆王手?

プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)は、
地元甲子園で開催しながら、阪神が2連敗で敗退...。
あまりの情けない試合に、怒りも悔しさも湧かないほどだ。

で、気分を変えてパ・リーグのCSファイナルステージを楽しむ。
シーズン3位から大逆転で勝ち上がってきたロッテを応援。
どこかの球団と違って、ここ一番で勝負強い。
観ていて、実に楽しい試合だ。


3試合を終わって、ソフトバンクが3勝(アドバンテージ分含む)1敗で王手をかけた。
そこからロッテが連勝して、昨日までで3勝3敗
今日勝った方が日本シリーズ進出だ。

今朝のスポーツ紙には、どこも「ロッテ逆王手!」の見出しが躍っている。
よく目にする言葉だが、考えてみるとこの使い方おかしくないだろうか?

将棋の場合、自分がかけた王手を相手がかわした結果、
今度は相手が王手をかける状況になることはあり得る。
そのときは自分の王手は消滅しているわけだ。

ところが今回のような場合は、ソフトバンクの王手がなくなったわけではない。
相変わらず3勝は挙げているのだから、今日勝てばいいわけだ。
「逆王手」では、ロッテだけにチャンスがあるような誤解を生むのではないか...。

今シーズンはセ・パ両リーグとも終盤まで混戦が続いた。
特にパ・リーグは、西武がマジック4まで行きながら、
最終盤にそれが消え、逆にソフトバンクにマジック1が点いた。
マジック1はすなわち「王手」である。

そのままソフトバンクの優勝が決まったが、
その日の試合で西武が勝ち、ソフトバンクが敗れていれば、
今度は西武にマジック1が点くはずだった。

こういう状況こそ「逆王手」と言うにふさわしい。
チャンスは片方にのみあるのだから...。


では、今回のロッテvsソフトバンクの3勝3敗はどう呼ぶべきか...。
互いに「王手」なのだから、「両王手」はどうかと思ったが、
それは将棋用語に実在し、全く違う意味になるようだ。
「相王手」なんてどうだろう...?

いつ誰が使い始めたの知らないが、どうも「逆王手」はしっくり来ない。
違和感を覚える方、他にいらっしゃいませんか?










※画像は庭で見かけた双子の花。不思議...。


  


Posted by どーもオリゴ糖 at 13:25Comments(0)ことば

2010年10月17日

「主婦」は忙しい

前回の続き。

「主婦」という言葉を中3生に定義してもらった。

 「妻。主に家事をする。」
 「家族の中で主に家事をする女性のこと。」
 「家にこもり、炊事・洗濯などの家事をしている女性を指す言葉」


この辺は当たり障りのない説明だ。
「家にこもり」は専業主婦をイメージした結果か?
...それにしても「こもり」は行き過ぎではないか...。

あとの3人が注目している点が面白い。

 「主に家事を仕事とし、年中無休。」
 「結婚して仕事や家事を行い、夫とは違って忙しい。」


とにかく「主婦」は忙しいのだ!
中学生にもそう映っているのだ。
「夫」は、あまり忙しそうに見えないらしい...。

 「家庭で夫を支える縁の下の力持ち的存在。むしろ夫より物事に追われて忙しい人。
  たいてい夫より強く、夫がおそれる人。


表には出ず陰で「夫を支える」役回りに徹しながら、
家庭内ではしっかり実権を握っている様子をみごとに表現している。
失礼ながら、つい彼のお母さんの顔を思い浮かべてしまった...。


因みに辞書の定義は以下の通り。

 「妻であり、家事をきりもりする人。」(旺文社国語辞典)
 「主人の妻で、一家をきりもりしている婦人。女あるじ。」(広辞苑)


「きりもりする」がポイントらしい。

新解さん(新明解国語辞典)ではこうなっている。

 家族が気持ちよく元気に・仕事(勉強)が出来るように生活環境を整え、
  食事などの世話を中心になってする婦人。<主として妻に、この役が求められる>


さすがに定義が具体的だ。
「きりもりする」なんかで誤魔化さない...。
< >の中の補足も効いている。
妻がやらなければいけないのではなく、「求められている」だけなのだ。

またときどき、この「ゲーム」やってみようと思っている。









  


Posted by どーもオリゴ糖 at 12:22Comments(0)ことば

2010年10月14日

「万引き」を定義せよ

心酔してやまない「新解さん」(新明解国語辞典)の魅力を生徒にも紹介した。
(以前に紹介した新解さんはこちらやこちら。)

さすがに中学生に「合体」とか「性交」の解釈を披露するわけにはいかないので、
「動物園」「憎い」で、他の辞書ではあり得ない定義を体感してもらう。

他にも面白いのがあったはずだと前に書き留めたメモを探し出し、
次は「万引き」「主婦」を味わってもらおうと決めた。

当日になって思い立った。
いきなり新解さんの解釈を見せる前に、まず彼らに自分なりの定義を書いてもらおう。
その後、一般的な辞書の解釈と新解さんのそれを紹介すれば、
新解さんのユニークさがいっそう際だつだろうと考えたのだ。

その場にいた中3生6名(全員男子)に書いてもらう。
制限時間は5分。
自分が辞書の編集者になったつもりで説明しろと指示した。

ウチの塾は普段からよく辞書を引かせているし、
オリジナル教材にも言葉の定義を書かせる問題があるので、
結構それっぽい答が集まった。

当たり障りのないいかにも辞書的なもの、
自分の経験を元にした新解さん顔負けのユニークなもの...。
生徒それぞれの性格や家庭環境まで垣間見えて面白い。
それぞれに過不足はあるが、どれもなかなかの作品だった。

まずは「万引き」の定義。

 「店で売っている品物を、無断で持ち出そうとする行為。」
 「店で商品を、お金を払わずに勝手に持ち出すこと。」


この辺りはおとなしい。

 「身近にあるコンビニやスーパーから、金ではなく売り物を盗って
いく人。犯罪者。
  ときには何十人の連合を組んで物を盗りに来る。」


「コンビニやスーパー」に限定しているところは問題だが、
「ときには」以降がユニークだ。

 「店にある商品を許可なく持ち去り、店に損害を与える犯罪。」

「店に損害を与える」という定義を入れたはこの子だけだった。

私が一番気に入ったのがこれ。

 物をこわさず、人に恐怖を与えることなく品物を盗むこと。」

なるほど!

...泥棒や強盗との違いを明確にしたかったようだ。


因みに実際の辞書ではこうなっている。

 「物を買うふりをしてそっとぬすむこと、また、その人。」(小学館・新選国語辞典)

 「買い物をするふりをして、店頭の商品をかすめとること。また、その人。」(広辞苑)


そして新解さんは...

 「店員の見ていない隙に売り場の商品を手に取り、
  自分の持ち物(買った物)であるかのように見せかけて店外に持ち出す・こと(人)。」


さすがにリアルだ!
HOW TO 万引きの指南書みたい...。

さらに面白かった「主婦」については、また次回に...。












     


Posted by どーもオリゴ糖 at 11:55Comments(0)ことば

2010年10月11日

下着にオシャレ?

夜テレビを見ながらくつろいでいたら、何かが顔にぶつかってきた。
中型の蛾だ。

ハエたたきで一撃したが、まだ生きている。
少しひしゃげて、いつもは閉じている前翅が左右に分かれた。

その隙間から見えた後翅の美しさに驚嘆!
まるでルリタテハのような鮮やかな水色だ。

ネットで調べたら、フクラスズメという名らしい。
この蛾、人家の周辺でも珍しい種ではない。
今までも何度も目にしている。

ところが留まっているときはもちろん、飛んでいるときにも
めったに後翅を拝むことはできないようだ。
地味な印象の、いかにも蛾という外見なのに、
人目につかない所でこんなオシャレをしているなんて...。


蝶は好きでいろいろ写真も撮ってきたが、
こんなシブイ蛾を知ってしまうと、これからそちらにものめり込みそうだ。
それにしても、いったい何の目的であんな色をしているのだろう?
何のために隠しているのだろう...?

最近は虫が苦手な子が多い。
塾の窓から入ってくる小さな羽虫も殺せない。
蝶でも怖いらしいので、蛾など飛んで来ようものなら男子も含めて大騒ぎだ。

私の昨夜の感激、彼らには到底わかってもらえそうにない。














※自分で撮った写真はピンぼけだったので、あるサイトの画像をお借りした。

  


Posted by どーもオリゴ糖 at 12:06Comments(0)日記

2010年10月08日

できの悪い子ほど可愛い?

長年阪神ファンをやっているので、ある程度予想&覚悟はしていた。

それにしても、本当に「ここぞ!」で勝てない。
勝負所で弱すぎる...。


今シーズンのラストゲーム。
勝てばセ・リーグ2位確定という試合だった。
クライマックスシリーズを甲子園で開催できる権利を、自力でつかみ取るはずだった。

相手は最下位の横浜。
打つ方の主力である外国人2人はすでに帰国している。
しかも投手は防御率10点越えで今季未勝利。
失礼ながら、楽勝だと思っていた。
でも、阪神のことだからもしかして...という不安も...。

結局0対2で完敗。
ランナーは出るのだが、チャンスで主力がことごとく凡退。
今年何度も見てきたパターンだ。
終盤には、チャンスが来ても、どうせダメだろうと期待しなくなっていた。

で、今年2本目という松本と、プロ初安打という筒香にホームランを浴びて終わり。
なんだ、この情けない試合は...。

東京ドームでは、負けてくれるかも(これでも阪神2位確定)...と期待した読売が、
投手部門3冠の広島・前田健太を打って勝利。
阪神は3位に落ち、今日読売が負けてくれなければ、甲子園には戻れなくなった。

読売や中日は大事な試合はほとんど落とさない。
阪神は逆にほとんど負けているのではないか。


やはり精神面の脆さなのか?
メンバーが替わっても、この悪しき伝統は脈々と受け継がれているようだ。
優勝が懸かるどころではなく、
たかだか勝てば2位という程度の試合でプレッシャーに負けてガチガチとは...。
これではクライマックスシリーズの戦績も目に見えている。

昔から、何度裏切られてきたことか。
何年、悔しい情けない思いをしてきたことか...。
それでもファンをやめられないのは、できの悪い子ほど可愛いという心理か?

確かに、何年も続けて優勝という優等生では、少々面白味に欠けるかも知れない。
それにしても、何年も続けてあと一歩の所で最後に失速という問題息子は苦労の種だ。
性根から鍛え直さなくては...。

そんなファンの声には耳も傾けず、来年も監督、コーチは留任だという。
こりゃあ当分優勝は無理だな...。
生きている間にはなんとか実現してほしいものだが...。









  


Posted by どーもオリゴ糖 at 14:51Comments(0)日記

2010年10月07日

いかに楽するか

数学の計算を、わざわざ難しくしている生徒が多い。


(例1)三角形の面積の計算。
    14×11×1/2を、馬鹿正直に前から計算しようとして筆算する。

    どうせ1/2をかけるのだから、先に14を半分にして7×11と考えれば筆算は要らない。

例2)連立方程式で11x+11y=88...①、9x-9y=18...②という2つの式が出てきたとする。
    ①の両辺を9倍、②の両辺を11倍して面倒な計算をする生徒がほとんどだ。
    大きくすることしか考えていない。
    
    ①を11で、②を9で割ればずっとすっきりした式になるのに...。

(例3)これも方程式。ずっと計算してきて、最後に3=5xになったとする。
    ここで移項して-5x=-3にしたがるのだ。
    
    こんなの移項なんかしなくても、左右を入れ換えるだけで5x=3でいい。
    型にこだわりすぎている...。


(例4)s=(a+b)pをaについて解けという問題。a=○○という形に直せということだ。
    見ていると、右辺を展開して始める子が多い。
    
    (a+b)は最後までひとかたまりにしておいた方が遙かに楽なのだが...。

(例5)これは定番の問題。
    x=√2+1、y=√2-1のときx2乗-y2乗の値を求めよ。
    x2乗-y2乗を因数分解してから代入すれば暗算でも解けるのに、
    いきなり代入して途中で計算間違いを犯す...。
    
    そうならないように中1のときから、
    「代入するときは式を簡単にしてから」と言い続けているのだが...。


いかに楽して解くかというのが、数学の一つのテーマだと思う。
ここに挙げたような問題にどう対処しているか、そこに数学のセンスが垣間見えるのである。








      


Posted by どーもオリゴ糖 at 13:04Comments(0)よしなしごと

2010年10月04日

テストの点は上げるものか?

テストの点は誰でも気になる。
そりゃあ、良いに越したことはない。

当然、多くの塾はテストの点を上げることに照準を合わせてくる。
定期テストの前には、その中学の何年分かの「過去問」を元に対策を練っている。
「予想問題」を作って対応している塾もあるようだ。

私の塾は、テスト対策を一切しない。
生徒が自主的にテスト勉強をするのを禁止するものではないが、
私から積極的に動くことはない。

正直、テスト対策をした方が、保護者や生徒からのウケはいいだろうと思う。
だが、しない。
教室だよりでもその点ははっきり宣言した。

定期テストは範囲が決まっているのだから、
そこを集中的に勉強し、よくわからない所はまる覚えしてしまえば何とかなる。
その気になれば40,50点は簡単に上げることができるだろう。

だが、それが勉強だと思ってもらっては困るのだ。
その場凌ぎの勉強で誤魔化してきた子は、総合テストになって必ずつまずく。
出題範囲が格段に広くなった途端、それまでの勉強法ではどうにもならなくなるのだ。

そうならないためには、普段から本質を理解する勉強を積み重ねていくしかない。
付け焼き刃ではない、しっかりした学力を身につけさせしかないのだ。
テストの度にこれが中断されては、甚だ効率が悪い。
結果的には、テスト対策に翻弄されない方が得策だと思っている。

さらに言えば、前述したようなテスト用の勉強くらい、
塾に頼らず自分でこなしてほしいのだ。
それくらいのことも大人がお膳立てしてやらなければできないようでは、
高校や大学での勉強にはついて行けない。

だから、塾ではテスト対策をしない。
あえて言えば、普段の指導すべてが、高校入試や大学入試の対策になっているのだ。

漢検や数検、TOEICなどでもそうだ。
それ用の対策本や過去問で準備するのが当たり前になっている。
私自身もそうしたことが多かったし、生徒に対してもある程度同じようにしてきた。

でも本当は、そういう受検の仕方に疑問を持っている。
出題傾向をつかむくらいの準備は必要だろうが、
そんなレベルを遙かに超え、検定のためだけの勉強に多くの時間が割かれているのが現状であろう。

それが当たり前になっているから、
普段の実力を測ろうと思って何もしないで受けるととんでもない結果になる。
対策をした上で受検することが前提となっている検定でいいのだろうか...。
健康診断の前だけ節制するのと同じようなものではないのか...。


一度、それ用の対策を一切せずにTOIECを受けたことがある。
得点は前回より50点下がったが、しっかり対策したときとは一味違う満足感があった。

テストの点は「上げる」ものではなく、
普段から納得の行く勉強をしていれば、自ずと「上がる」ものであると考えている。














  


Posted by どーもオリゴ糖 at 12:46Comments(0)よしなしごと