2010年06月04日

「新解さん」を知っていますか?

一時期結構ブームになったそうで、関連のサイトもいくつかあります。
ご存知の方も多いでしょうが、ナガブロの検索で引っかかって来なかったので、
若い人にもお勧めすべくご紹介することにしました。

それは三省堂の「新明解国語辞典」

知る人ぞ知る異色の存在です。
普通、辞書というものは正確さを第一に、
徹底的に感情を廃した客観的な記述を心がけるものでしょう。
その分、当たり障りのない無味乾燥な表現になるのもやむを得ません。

この辞書は全く違います。
もっとわかりやすく、生活に即した説明にしようとした意気込みはわかります。
きわめて冒険的な辞書なのです。
その結果、「主幹」の山田忠雄氏の独断・偏見・好き嫌い等が盛りだくさんの、
実に「読んで楽しい」辞書に仕上がったというわけです。

赤瀬川源平著「新解さんの謎」で、そのユニークさが広く知れ渡りました。
今日は、その本にも代表例として挙げられている、
新明解ならではの定義、解釈をご紹介します。
いわば入門編なので、すでによく知っているという方はパスしてください。

なお、新明解の中でも一番面白いという噂の「第四版」がたまたま家にあったので、
以下の記述はその版によります。

 「動物園」・生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、捕らえて来た多くの鳥獣・魚虫
       などに対し、狭い空間での生活を余儀無くし、飼い殺しにする、人間中心の施設。

さすがにクレームが多かったのか、第五版以降はここまでの表現にはなっていません。

 「恋愛」・特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒にいたい、出来るなら合体したい
      という気持を持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・
      (まれにかなえられて歓喜する)状態。

「合体」って...ガンダムか...。
「釣りバカ日誌」での用法は、この辞書が元に違いありません。

「常にはかなえられないで」や「まれにかなえられて」に、山田氏の半生が感じ取れます。
実に読み応えがありますね。

さて、では「合体」はどう書いてあるか...。

 「合体」・②「性交」の、この辞書でのえんきょく表現。

そんなのあり...?!

こうなれば次は「性交」です。

 「性交」成熟した男女が時を置いて合体する本能的行為。

ここで「合体」を使っては、説明になっていないのでは...?

それよりも注目は赤字の部分です。
未成熟の男女によるものや、時を置かない行為は「性交」ではないのです!
皆さん、気をつけましょう...(何に?)。

今日は有名なものばかりでしたが、
次回は、私が見つけた味のある語義をご紹介する予定です。
お楽しみに...。




「新解さん」を知っていますか?










 


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Posted by どーもオリゴ糖 at 12:24│Comments(0)ことば
 
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