2010年06月05日

「新解さん」は妥協しない!

昨日の続き。
私が見つけた「新解さん」です。

今回は「広辞苑」(第四版)の解釈も載せてみました。
常識的、一般的、無難な「広辞苑」との違いを比べることで、
新解さんの冒険性を実感していただきたいと思います。

【にくい】<広辞苑>①にくらしい。気に入らない。
             ②腹立たしい。癪にさわる。けしからぬ。
             (以下略)

      <新明解>①相手(の存在)がたまらなくいやで、出来るなら抹殺したいくらいだ。
             (以下略)


気持ちはわかりますが、かなり物騒です。
警察沙汰にならなければいいですが...。

ついでに新解さんの【にくい】の項目の中に、こんなのも見つけました。
  
     「憎からず思う」 出来るならかわいがってやりたいとさえ思う。  
               相手に対する好感が、好感以上に発展しそうな状態にあることを指す。
 

「恋の予感」でしょうか...?
広辞苑では【憎からず】が独立していますが、
「愛情がなくはない」「かわいい」程度の説明で、何の予感もしません。

【人情】<広辞苑>①自然に備わる人間の愛情。いつくしみ。なさけ。
            ②人心の自然の動き

    <新明解>①人ならば、だれでの持っているはずの、心の動き。
           同情・感謝・報恩・献身の気持のほかに、
           同じことなら少しでも楽をしたい
           よい方を選びたい、よい物を見聞したい、十分に報いられたい
という欲望など。 


新解さんの1行目はほぞ広辞苑と同じですが、2行目以降が秀逸!
欲望の奥深くまで踏み込んだ解釈...さすがです。

因みに、新明解の【人情】の②はこうなっています。

         ②男女間の愛情。「まだ--を解しない」

こんなのは広辞苑には出てきません。
このこだわりが新解さんの真骨頂ですね。

【人生経験】<広辞苑>記載なし

        <新明解>表街道を順調に歩んできた人にはとうていわからない
              実人生での波瀾に富み、辛酸をなめ尽くした経験。
             〔言外に、真贋の見極めのつく確かさとか、修羅場をくぐり抜けて来た人たちの 
              一大事に対する覚悟の不動とかを含ませて言うことが多い〕


何があったのでしょう?
ずいぶんと逞しい人生を送って来られたようです。
やはり人が育つ上で苦労は欠かせないということですね。
「とうていわからない」が効いています。

またちょこちょこご紹介しますね。


「新解さん」は妥協しない!


      


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Posted by どーもオリゴ糖 at 14:36│Comments(0)ことば
 
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