2011年03月11日

比べる力~その2~

前回の続き。
上手に比べるためには、論理的な思考力が不可欠である。

たとえばミカンとリンゴを比べる。

「ミカンは手で皮をむくことができる」とだけ言うより、
「リンゴは包丁がないと皮をむけないが、」を前に補った方が違いがはっきりする。

「リンゴは赤いが、ミカンはオレンジ色だ」と言うこともできる。
先ほどとは違う観点からの比較だ。
いくつかの例を挙げ、その観点を答えさせるのも面白い。
ここまでの例では、一つ目が「食べやすさ」、二つ目が「色」などとなる。

逆に観点を与え、比べる文を作らせてもいいだろう。
「産地」という観点からは、
「リンゴは主に寒い地方で栽培されるが、ミカンは主に暖かい地方で栽培される」などが期待される。
いきなり全文を書かせるのが難しければ、
「リンゴは~」の部分は予め示しておいて、続きを答えさせてもいい。

さらに、両者の違いを際立たせるためには、あえて共通点に言及することも重要だ。
「リンゴもミカンも冬が旬の果物だが、」に続けて上記の違いを述べた方が、より訴求力が増す。
この練習は小学生から十分可能だ。
「扇風機とうちわはどこが同じでどこが違うか?」
「鉛筆とクレヨンの共通点と違いは?」
など、身近な物をいくらでも題材にできる。

今まで述べてきた比較より一歩進んだ形が、比べる物自体を考えさせるものである。
これは「ふくしま国語塾」主宰の福嶋隆史氏が実践されている方法で、
「○○は××である。それに対して...」の続きを答えさせる問題だ。
○○と対になる言葉を考え、××の反対語をつなげる。
たとえば「夏は暑い。それに対して...」には「冬は寒い」となるわけだ。

これなら簡単だが、
「昨日とは過去であり、変えることができない。それに対して...」になるとぐんと難しい。
「昨日」の対は何か...?
「今日」と答える子もいるそうだが、ベストはやはり「明日」だとのこと。

言語力、論理力を鍛える教材の一つの柱として、
「比べる力」を体系的に養う問題を盛り込んでいきたいと考えている。




比べる力~その2~



<画像について>松代・真田邸の釘隠その3です。


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Posted by どーもオリゴ糖 at 12:23│Comments(0)素材
 
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