2010年06月10日

「トン」の不思議

1mの1000倍は1km、1gの1000倍は1kgだ。
k(キロ) は1000倍を表す接頭語である。

kのさらに1000倍はM(メガ)だが、1000kmを1Mmとは言わない。
リットルやアンペアも同じだ。

質量に関しても「1Mg」はないが、代わりに1000Kgを1t(トン)と言う。
考えてみれば不思議な話だ。
国際単位系では、統一性を重視する観点から「Mg」を推奨しているそうだが、
慣習的に「t」の使用も認めているようだ。

1mmや1cm、1mgや1kgはメートル法の基準に沿っている。
長さの基本であるm(メートル)や、重さの基本のg(グラム)に、
m(ミリ)、c(センチ)、k(キロ)といった接頭語が付いて単位となっているからだ。

ところが「t」だけは、質量の単位なのに「g」が付いていない。
メートル法の単位の中では極めて異色な存在である。

メートル法の「t」は、正式には「メトリックトン」あるいは「仏トン」と言うらしい。

「t」はもともとヤード・ポンド法の単位だっだが、
「k」以上の接頭語がなかった時代に、メートル法に採り入れられたようだ。

因みに、イギリスで使っている「英トン」は約1016kg、
アメリカの「米トン」は約907kgで、メートル法のそれとは微妙なズレがある。
ここに「t」を採用したときの事情が伺える。
1000kgに比較的近いということで、表舞台に出る幸運を得たのであろう。

しかし、質量の場合だけ、kの1000倍にあたる単位が設定されているのも特異なことだ。
長さ(距離)にはkmの上の手頃な単位はないので、地球の周囲の長さや
太陽までの距離でさえ、kmを使って表現せざるを得ない。
その上は一挙に「光年」(約9.42×10の12乗km)になってしまう...。

これは、質量を表す単位には、それだけ大きいものを用意する必要があったということだろう。
1000kmの1000倍の距離はなかなかピンと来なくても、
1000gの1000倍の物は比較的身近にあったということだ。
大木でも石でも、自然の中にそういう存在があったからこそ、
「t」の必要性が生まれたのであろう。

それでもなお、統一性を図るために、「t」よりも「Mg」を推したいA型の私である。
















 








  


Posted by どーもオリゴ糖 at 12:00Comments(0)ことば