2010年08月02日
3年間で退化した?
今年から抽出方式に変わった「全国学力テスト」の結果が公表された。
一昨日の信毎では、1面に「県内中学全国下回る」という見出しが躍っていた。
小学校はそこそこ健闘したようだが、中学は国語A・B、数学A・Bすべてで全国平均を下回り、
都道府県別の順位はどれも40位前後だったとのこと。
まあ、いつも上位にいる都道府県は、それなりの対策をして臨んでいるのかも知れないし、
順位に一喜一憂することもないと思う。
それよりも、「やっぱりな...」と思わされたのが、朝日新聞の記事である。
4年目の実施となる今回は、「比較問題」というのがあったそうだ。
初回の2007年、小6で受けたものと類似する問題を、今回中3に出したのだ。
3年間でどれだけ理解が進んだかを調べる目的だという。
一例として挙げられていたのが円の面積だ。
今回、中3の問題の中に円柱の体積を求めるものがあったが、
その正答率は43.2%だった。
全体の正答率が66.1%だったのに比べるとかなり低い。
これだけでも困ったものだが、さらに注目すべきデータがあったのだ。
どこにミスがあったのかを分析した結果、
底面積を出す時点で間違えている生徒が11.9%いたというのだ。
3年前には単純に円の面積を求める問題だったが、そのときの間違いは9.3%。
つまり単純比較では、3年を経て定着するどころか、
逆にできない子が2.6ポイント増えているという結果になったのである。
円周や円の面積は、わかっていない子が本当に多い。
中学で数学が苦手な子は、かなりの割合でここがいい加減だと言っていい。
円がわからなければ、おうぎ形の面積や弧の長さなど、何をか言わんやである。
円錐の表面積など、まったくお手上げになってしまう...。
そもそも、「円周率」とは何なのか、聞いてみると満足に答えられない。
「何の何に対する率なの?」と問いかけてもわからない。
少し噛みくだいて、「率なんだから割合だ。何と何が1:3.14なの?」と聞いても、
「円の、円周に対する割合」などとわけのわからない答しか返ってこない。
円周の出し方(直径×π)と円の面積の出し方(半径×半径×π)を混同している例も多い。
単位もcm と㎠ の使い分けができていない。
面積は長さを2回掛けるからcmの2乗になるという原理がわかっていれば、
「半径×半径...」が円周になるわけないと気づくはずなのだが...。
原理や理屈をないがしろにしたまま、公式だけを覚えさせてきたのではないか。
生徒の側が安易に公式を覚えたがるという側面も否定しないが、
そうだとしても、そうなるにはどこかで
「こうやればラクだよ」的な指導が成されていたと考えざるを得ない。
円の面積がなぜ「半径×半径×3.14」で出るのかは、
小学校の教科書にもちゃんと説明が載っている。
あれを現場で、どれだけ時間をかけて理解させているのだろう。
どんな円も直径の約3倍が円周になっていることを、
実験を交えて体で納得させる授業は行われているのだろうか...。
中学生に、黙って小学5年生の教科書を手渡す度に、ついため息が出てしまうのだ...。

一昨日の信毎では、1面に「県内中学全国下回る」という見出しが躍っていた。
小学校はそこそこ健闘したようだが、中学は国語A・B、数学A・Bすべてで全国平均を下回り、
都道府県別の順位はどれも40位前後だったとのこと。
まあ、いつも上位にいる都道府県は、それなりの対策をして臨んでいるのかも知れないし、
順位に一喜一憂することもないと思う。
それよりも、「やっぱりな...」と思わされたのが、朝日新聞の記事である。
4年目の実施となる今回は、「比較問題」というのがあったそうだ。
初回の2007年、小6で受けたものと類似する問題を、今回中3に出したのだ。
3年間でどれだけ理解が進んだかを調べる目的だという。
一例として挙げられていたのが円の面積だ。
今回、中3の問題の中に円柱の体積を求めるものがあったが、
その正答率は43.2%だった。
全体の正答率が66.1%だったのに比べるとかなり低い。
これだけでも困ったものだが、さらに注目すべきデータがあったのだ。
どこにミスがあったのかを分析した結果、
底面積を出す時点で間違えている生徒が11.9%いたというのだ。
3年前には単純に円の面積を求める問題だったが、そのときの間違いは9.3%。
つまり単純比較では、3年を経て定着するどころか、
逆にできない子が2.6ポイント増えているという結果になったのである。
円周や円の面積は、わかっていない子が本当に多い。
中学で数学が苦手な子は、かなりの割合でここがいい加減だと言っていい。
円がわからなければ、おうぎ形の面積や弧の長さなど、何をか言わんやである。
円錐の表面積など、まったくお手上げになってしまう...。
そもそも、「円周率」とは何なのか、聞いてみると満足に答えられない。
「何の何に対する率なの?」と問いかけてもわからない。
少し噛みくだいて、「率なんだから割合だ。何と何が1:3.14なの?」と聞いても、
「円の、円周に対する割合」などとわけのわからない答しか返ってこない。
円周の出し方(直径×π)と円の面積の出し方(半径×半径×π)を混同している例も多い。
単位もcm と㎠ の使い分けができていない。
面積は長さを2回掛けるからcmの2乗になるという原理がわかっていれば、
「半径×半径...」が円周になるわけないと気づくはずなのだが...。
原理や理屈をないがしろにしたまま、公式だけを覚えさせてきたのではないか。
生徒の側が安易に公式を覚えたがるという側面も否定しないが、
そうだとしても、そうなるにはどこかで
「こうやればラクだよ」的な指導が成されていたと考えざるを得ない。
円の面積がなぜ「半径×半径×3.14」で出るのかは、
小学校の教科書にもちゃんと説明が載っている。
あれを現場で、どれだけ時間をかけて理解させているのだろう。
どんな円も直径の約3倍が円周になっていることを、
実験を交えて体で納得させる授業は行われているのだろうか...。
中学生に、黙って小学5年生の教科書を手渡す度に、ついため息が出てしまうのだ...。
