2010年08月29日

見てわかる力

数学=計算だと思っている生徒がいる。
難しい数式を駆使した方が高度な解き方だと誤解している。

...とんでもない!
シンプルな解き方こそが一番美しいのだ。


たとえば次のような∠aを求める問題がある。
もちろん平行線とか三角形が絡んで、
他のわかっている角から導き出す問題だ。





これを平気で「105°」と答える。
どこかで計算間違いか、勘違いをした結果だ。
しかし、図を見ればどう考えても90°以下のはずだ。
そこでおかしいと思ってほしいのだが、そんなことは気にもかけない。

計算を過信し、見て判断できることを疎かにしている...。


次は、一次関数のグラフから式を出す代表的な問題だ。





計算に頼る生徒は、当然のようにy=ax+b の式を持ち出し、
(-4,0)と(0,5)をxとyに代入して連立方程式を作る。
方程式にするといかにも数学をやっている気分になるのだろうが、
実はきわめて機械的に対処しているだけだ。

もっと簡単にできるのに、そんな方法は考えもしない...。

グラフを見れば、こんなの5秒で解ける。
傾きが4分の5、切片が5だからy=5/4x+5 でおしまい。
何の計算もいらない...。



高校の三角比でもそうだ。
sin2乗θ+cos2乗θ=1や、cosθ=sin(90-θ)などを必死に覚える理由がわからない。
教科書でも、いかにも重要なことのように太字で書いてあるが、
「公式」というほどのものでもなかろう。
直角三角形を描いてみればすぐにわかる。
こんなのを一々暗記していては、すぐにメモりーがいっぱいになってしまう...。

証明問題では、こことここが等しそうだという勘も軽視できない。
むろん思い込みは厳禁だが、図を見て見当をつけることで解決の糸口が見つかることも多い。
ひらめきや直観が働く頭を育てるために、
生徒には「計算に頼るな、見てわかる力を大事にしろ」と言い続けている。






  


Posted by どーもオリゴ糖 at 11:30Comments(4)よしなしごと