2010年05月15日
歴史教科書の文章
中学の社会の教科書は退屈だ。
教科書なんてそんなものだと言ってしまえばそれまでだが、もう少し何とかならないものか。
手元に平成8年発行と18年発行(現行)の歴史教科書がある(いずれも東京書籍)。
新しい方はB5版になり、全ページにカラーの写真や図表が満載だ。
初めに「これからみなさんといっしょに学習していく友だち」が出てくる。
本文中の随所でそのイラストが登場して、
「どんなちがいがあるかな」「何をしているんだろう」などと生徒に語りかける構成だ。
小学校の教科書と大差ない。
文体も8年版の「である」調から「ですます」調に変わった。
そのために文末表現が恐ろしく単調になり、「~しました」「~でした」の連発である。
事実の羅列のみになるのは仕方ないが、文章に全くリズムが感じられず、読み進めるのが苦痛になる。
おまけに一文が長い!
例として、18年版の鎌倉時代の記述を挙げる。
承久の乱の説明で、後鳥羽上皇が挙兵した後の文である。
幕府は大軍を率いてこれを破り(承久の乱)、京都に六波羅探題を置いて朝廷を監視するとともに、
上皇側についた貴族や西国の武士の領地を取り上げ、地頭に東国の武士を任命し、幕府の支配力は
いちだんと強まりました。
句読点を入れて101文字である。
スラスラ頭に入ってくるのは、精々50字程度の文ではなかろうか。
この文には主語が2つ出てくるので(「幕府は」と「支配力は」)よけいに読みにくい。
同じ箇所が8年版ではこうなっている。
しかし上皇がわの期待に反して、東国の武士の大部分は北条氏についたため、大軍の前に敗れ去って、
上皇は隠岐(島根県)に流された。これを承久の乱という。
乱のあと、幕府は、京都に六波羅探題を置いて朝廷を監視し、西国の支配に当たらせた。また、上皇
がわについた貴族や武士の領地を取り上げて、その地の地頭に東国の武士を任命したので、幕府の全
国に対する支配力はいちだんと強くなった。
どうだろう?
8年版の方がはるかに読みやすく、記述が生き生きとしている感じがしないだろうか?
「である」調で1文も適度の長さに切ってあるため、リズムがある。
「上皇がわの期待に反し」や「大軍の前に敗れ去って」という表現も味がある。
「また、」以降の文にはやはり主語が2つあるが、「~ので」を入れたことでわかりやすくなっている。
「ゆとり教育」の影響で教科書が薄くなり、字数に制限があるのだろうが、
それなら「ですます」調をやめて少しでも字数を減らせばいい。
カラフルな写真にスペースを割くより本文を充実させればいい。
他教科の教科書にも、おしなべて同じことが言える。
薄くなって本文が減った。「親しみやすさ」ばかりが目につく。
中身が少なくなったから楽になるかといえば、事実は全く逆である。
説明が少ない分、かえってわかりにくくなっているのだ。
塾では昔の教科書や高校の教科書を見るよう指導している。
薄っぺらな、「親しみやすい」教科書は、生徒を馬鹿にしているとしか思えない。
ゆとり教育見直しで教科書の中身は少しはましになるかも知れないが、
文章も良質なものに改めてほしいと強く望む。

教科書なんてそんなものだと言ってしまえばそれまでだが、もう少し何とかならないものか。
手元に平成8年発行と18年発行(現行)の歴史教科書がある(いずれも東京書籍)。
新しい方はB5版になり、全ページにカラーの写真や図表が満載だ。
初めに「これからみなさんといっしょに学習していく友だち」が出てくる。
本文中の随所でそのイラストが登場して、
「どんなちがいがあるかな」「何をしているんだろう」などと生徒に語りかける構成だ。
小学校の教科書と大差ない。
文体も8年版の「である」調から「ですます」調に変わった。
そのために文末表現が恐ろしく単調になり、「~しました」「~でした」の連発である。
事実の羅列のみになるのは仕方ないが、文章に全くリズムが感じられず、読み進めるのが苦痛になる。
おまけに一文が長い!
例として、18年版の鎌倉時代の記述を挙げる。
承久の乱の説明で、後鳥羽上皇が挙兵した後の文である。
幕府は大軍を率いてこれを破り(承久の乱)、京都に六波羅探題を置いて朝廷を監視するとともに、
上皇側についた貴族や西国の武士の領地を取り上げ、地頭に東国の武士を任命し、幕府の支配力は
いちだんと強まりました。
句読点を入れて101文字である。
スラスラ頭に入ってくるのは、精々50字程度の文ではなかろうか。
この文には主語が2つ出てくるので(「幕府は」と「支配力は」)よけいに読みにくい。
同じ箇所が8年版ではこうなっている。
しかし上皇がわの期待に反して、東国の武士の大部分は北条氏についたため、大軍の前に敗れ去って、
上皇は隠岐(島根県)に流された。これを承久の乱という。
乱のあと、幕府は、京都に六波羅探題を置いて朝廷を監視し、西国の支配に当たらせた。また、上皇
がわについた貴族や武士の領地を取り上げて、その地の地頭に東国の武士を任命したので、幕府の全
国に対する支配力はいちだんと強くなった。
どうだろう?
8年版の方がはるかに読みやすく、記述が生き生きとしている感じがしないだろうか?
「である」調で1文も適度の長さに切ってあるため、リズムがある。
「上皇がわの期待に反し」や「大軍の前に敗れ去って」という表現も味がある。
「また、」以降の文にはやはり主語が2つあるが、「~ので」を入れたことでわかりやすくなっている。
「ゆとり教育」の影響で教科書が薄くなり、字数に制限があるのだろうが、
それなら「ですます」調をやめて少しでも字数を減らせばいい。
カラフルな写真にスペースを割くより本文を充実させればいい。
他教科の教科書にも、おしなべて同じことが言える。
薄くなって本文が減った。「親しみやすさ」ばかりが目につく。
中身が少なくなったから楽になるかといえば、事実は全く逆である。
説明が少ない分、かえってわかりにくくなっているのだ。
塾では昔の教科書や高校の教科書を見るよう指導している。
薄っぺらな、「親しみやすい」教科書は、生徒を馬鹿にしているとしか思えない。
ゆとり教育見直しで教科書の中身は少しはましになるかも知れないが、
文章も良質なものに改めてほしいと強く望む。