2010年07月22日
蛇の祟り
一昨日の信濃毎日新聞「斜面」は、柳田国男の「遠野物語」の話題だった。
私は大学で民俗学を専攻したので、もちろんこの書は知っている。
河童や山女、狼などについての怖ろしい話が満載だ。
しかも、空想ではなく「この書は現在の事実なり」なのだ。
実際に遠野を歩いたのは遙か昔のことだが、
「いかにも...」という土地だった記憶がある。
実は偶然にも昨日、近所の老人からこんな体験談を聞いた。
今年は安協の役員なので、その長老と二人で小学校の前に立った。
まだ子どもたちの姿も見えないので川を見ていると、
2メートルに迫ろうかというアオダイショウが日なたぼっこをしていた。
しばらく蛇の話になる。
私が、自然養鶏を生業としていたとき、アオダイショウに雛を喰われた話をした。
発見したときには、上半身は金網の外に出ているものの、
飲み込んだ雛でふくれ上がった腹がつかえて、逃げ切れないでいる状態だった。
蛇は大嫌いだが、このまま逃がしてはまたやって来るに違いない。
雛だけでなく、商品である卵も常に狙われているのだ。
意を決してしっぽを捕まえて引き抜き、そのまま地面にたたきつけた。
そんな話をした後の、長老の話だ。
中学生だった頃、腹のふくれたアオダイショウを捕まえ、腹を割いてみた。
中には野ウサギの子が2羽出てきたという。
それからしばらくして、集落の裏の山にキノコを採りに行ったそうだ。
尾根近くで休んでいたら、頭の上の木にアオダイショウがいた。
すると突然霧が発生し、あっと言う間に1m先も見えなくなったという。
激しい雨も降ってきた。
ずぶ濡れになりながら帰ろうとするが、道がまったくわからない。
さんざん迷って山の向こう側に降り、5,6km歩いてやっと帰ってきたそうだ。
あれは蛇の祟り(たたり)だったと述懐する。
長く生きてきた人の、実際の体験談には重みがある...。
昔は本当にそんなことがあったのだ。
いや、今でもあるのに、語り継がれていないだけかも知れない。
非科学的だ、迷信だと、貴重な体験が伝えられないまま埋もれているのではないか...。
自然や生き物や怪異現象を、畏れ敬っていた時代の方が、
精神的にはずっと豊かだった気がする...。

p.s. 画像は昔の携帯で撮った写真なので不鮮明ですが、卵を飲み込んでいるアオダイショウです。
産卵箱の中にいたのでびっくりしました...。
私は大学で民俗学を専攻したので、もちろんこの書は知っている。
河童や山女、狼などについての怖ろしい話が満載だ。
しかも、空想ではなく「この書は現在の事実なり」なのだ。
実際に遠野を歩いたのは遙か昔のことだが、
「いかにも...」という土地だった記憶がある。
実は偶然にも昨日、近所の老人からこんな体験談を聞いた。
今年は安協の役員なので、その長老と二人で小学校の前に立った。
まだ子どもたちの姿も見えないので川を見ていると、
2メートルに迫ろうかというアオダイショウが日なたぼっこをしていた。
しばらく蛇の話になる。
私が、自然養鶏を生業としていたとき、アオダイショウに雛を喰われた話をした。
発見したときには、上半身は金網の外に出ているものの、
飲み込んだ雛でふくれ上がった腹がつかえて、逃げ切れないでいる状態だった。
蛇は大嫌いだが、このまま逃がしてはまたやって来るに違いない。
雛だけでなく、商品である卵も常に狙われているのだ。
意を決してしっぽを捕まえて引き抜き、そのまま地面にたたきつけた。
そんな話をした後の、長老の話だ。
中学生だった頃、腹のふくれたアオダイショウを捕まえ、腹を割いてみた。
中には野ウサギの子が2羽出てきたという。
それからしばらくして、集落の裏の山にキノコを採りに行ったそうだ。
尾根近くで休んでいたら、頭の上の木にアオダイショウがいた。
すると突然霧が発生し、あっと言う間に1m先も見えなくなったという。
激しい雨も降ってきた。
ずぶ濡れになりながら帰ろうとするが、道がまったくわからない。
さんざん迷って山の向こう側に降り、5,6km歩いてやっと帰ってきたそうだ。
あれは蛇の祟り(たたり)だったと述懐する。
長く生きてきた人の、実際の体験談には重みがある...。
昔は本当にそんなことがあったのだ。
いや、今でもあるのに、語り継がれていないだけかも知れない。
非科学的だ、迷信だと、貴重な体験が伝えられないまま埋もれているのではないか...。
自然や生き物や怪異現象を、畏れ敬っていた時代の方が、
精神的にはずっと豊かだった気がする...。

p.s. 画像は昔の携帯で撮った写真なので不鮮明ですが、卵を飲み込んでいるアオダイショウです。
産卵箱の中にいたのでびっくりしました...。